人通りの多い道を歩いていく。雪がちらついていた。


『着いた! 一番乗り!』


スマホのポップアップにそんなメッセージが表示され、送り主を確認する。分かってはいたけれど、高校時代のクラスメート、灯からだ。


『すっごく混んでて、もしかしたらちょっとだけ遅れちゃうかもしれない……ごめんね』


続くそのメッセージは、羊からだった。
彼女とは卒業してからもたまに電話をしていたものの、会うのは二年ぶりくらいだろうか。末尾に悲しい顔の絵文字を付け加えているのが羊らしいな、と思った。

成人式――を明日に控えた今日。高校の同窓会が開かれることになっていた。
夕方からの開始だけれど、女子は特に準備で大変だから、一応早めに解散はするらしい。それでも懐かしい顔に会えるのは嬉しいことだ。


「あ、加夏? 加夏じゃん!」


駅を出てすぐのところで、聞き覚えのある声に呼ばれる。
振り向けば、赤いマフラーに顎を埋めた灯の姿があった。もともと髪が短い方だったけれど、更に短くしたらしく、ベリーショートが快活な彼女によく似合っている。


「久しぶり。灯、なんかまたかっこよくなったね」

「あはは。こんなに短くしたのはつい最近だよ! めちゃくちゃ首寒い!」