ピーク・エンド・ラバーズ



照れくさそうに破顔して、彼が言い返してくる。


「めちゃくちゃ世話焼きな自覚ある? 俺、甘やかされてんなっていっつも思うよ」

「そ、そんなことない」

「あるって。ご飯作ってくれる時、俺の好きなもんばっかりなくせに」


それは本当に無意識だったので、言葉に詰まってしまった。
だって、それは岬がいつも美味しそうに食べるからついつい――なんて、うっかり口を滑らせそうになり、唇を噛む。

下から真っ直ぐ交わった目に、この態勢はまずい、と今更ながら思い直した。事故とはいえ、彼を押し倒してしまっている。
慌てて身を引いた私に、岬は横たわったまま動かない。


「……起きないの?」

「あー、えーと……非常に情けないんですが、腰が抜けてしまいまして」


苦笑気味に申告した彼が、おずおずと両腕を掲げる。


「ちょっと引っ張ってくれませんか……」

「いいけど、自分でも起き上がる努力してよ。私じゃ岬の体重支えられないんだから」

「さーせん……」


いまいち締まらないのがチャームポイント、ということで許してあげよう。
岬の手を掴んで、思い切り引っ張る。――と、


「ごめん、うそ」