「加夏、今月末ってヒマー?」


空きコマの時間、コンビニにて。お菓子コーナーで立ち止まった芽依が、唐突に聞いてくる。
スマホを取り出してスケジュールを確認しつつ、私は頷いた。


「多分空いてる。何で?」

「えー、だってハロウィンじゃん。みんなコスプレとかするらしいしー」

「ああ……」


ハロウィン。そんなものもあったな、と鈍い反応になってしまった。自分にとってさほど重要性の感じられないイベントだったからだ。パッケージのそれらしいお菓子を買って、友達と軽く交換するくらいの。


「あれ、もしかして津山氏とデートする予定とかあった感じ?」


何を勘違いしたのか、芽依は私の顔を見てあらぬ方向に気を遣ってくる。特にそんな予定はないので、正直に首を振った。


「いや、ないよ。大丈夫」

「そうなん~? ……あ、」


五十音の一番最初の音を出して、瞬き一回。芽依がこちらを振り返る。


「津山氏も誘ったら? ついでにケースケも。人数多い方が楽しいじゃん、お祭りだし」

「ついでにって……」


それはケースケくんに失礼なのでは。
私の言外のニュアンスに反駁するように、「いーんだって、あいつはどうせ暇だし」と芽依がころころ笑った。