ピーク・エンド・ラバーズ



初めて聞く彼の荒々しい声色に、驚いて息を呑む。

いいんだ。
静かに息を吐いて、もう一度、相良くんがそう呟いた。


「確かに、西本に嫌われたままなのはきつかったけど……俺だって、最後まで分かってもらおうと努力すれば良かった話だし、結局振られるのが怖かった」

「相良くんは悪くない」

「ありがとう。……でも、本当にもういいんだ。そのおかげで、大事な人と会えたから」


大事な人。それは恐らく、今の相良くんにとって一番優先するべき存在なのだろう。彼の瞳は随分と凪いでいた。


「……そっか」


良かった、と。思わず零してしまう。
私のために一人でずっと悩んで――そんなの、自意識過剰だったみたいだ。でも、それでいい。そっちの方がいい。

傷つくくらいなら一人の方がマシ。いくらそう強がっていても結局、愛しい温度を知ってしまえば、一人はどうにも寂しくなってしまうから。


「西本も、できたんだな。大事な人」


良かった。
私の呟きに返すようにして、相良くんが噛み締めながら言う。


「うん。そうだね。……大事だよ、すごく」