ピーク・エンド・ラバーズ



しっかり過去形になった想いを受け取り、途端、押し込めていたものが溢れ出す。


「…………ごめん、私、」


突き放した時の相良くんの顔を、今でも鮮明に覚えている。

きっと彼はあの後、何度も私の誤解を解こうとしていた。最初は教室、それから休み時間、放課後。
私はその度に傷つくのが怖くて逃げて、挙句の果てに「もう話しかけないで」と怒鳴った。彼の悲しみに歪んだ表情を見て、そんな顔をしたいのはこっちの方だと、憤ったことも。

苦くて痛い初恋の記憶。苦くしてしまったのは、自分のせいだった。


「ごめん……ちゃんと、相良くんの話、聞けば……」


咄嗟に俯くと、テーブルに水滴が落ちる。グラスから滲んだものじゃない。まごうことなき、自分の、後悔の雫だった。

どれだけ苦しかっただろう。どれだけ痛かっただろう。
私が彼を憎んできた五年間、彼はただ苦いだけではなく、罪悪感も抱えながら、一人で過ごしてきたんじゃないだろうか。

こんな臆病者のために、ずっと。


「ごめんなさい……私、相良くんに沢山ひどいこと、」

「西本、いい。いいよ」

「良くないよ……!」

「いいんだって!」