ピーク・エンド・ラバーズ



相良くんが頼んだのはアイスコーヒーで、少なくとも中学時代は絶対にコーヒーなんて飲んでいなかったと思う。そこに嫌でも空白の時間を感じずにはいられなかった。


「……私のこと、好きっていうのは、」

「うん。好きだった。あの時、男子の間で悪ふざけがあったっていうのは、どうしようもない事実だけど」


グラスの水滴がしたたり落ちて、テーブルに着地する。


「三浦が、西本に告白するっていうから……そんなんで西本が傷つけられるの、すっごい嫌だなって思った。だから、『それなら俺が告白する』って言っちゃって」


冷静ではなかったと思う、と、彼は当時の自分を振り返った。


「西本に気持ち伝えるタイミングもずっと見つけられなくて、乱暴だけど、これが良い機会なのかもしれないって……それであの日、西本を呼び出したんだ」

「……相良くん」

「だから、あの告白は本当に、本当だったよ。って、今更言っても信じてもらえるか分かんないけどさ」


嘘つき。私は彼をそう評して、これまでずっと心の中で戦ってきた。大嫌い、とも、伝えてしまった。
そこまで徹底的に嬲り殺してきた相手への認識を即座に改めるには、脳内でかなりの混乱が必要だった。


「俺、西本のこと、好きだったよ」