ピーク・エンド・ラバーズ



今しがた頼もうと思っていたドリンクを言い当てられ、面食らう。
どうして、と呟いた私に、相良くんは苦笑しつつ、店員呼び出し用のボタンを押した。

手早く注文を終わらせた後、真向かいの相手は目を伏せる。


「……覚えてるよ。好きだった人の、好きなものくらい」


それは恐らく、数年越しの自白だった。
わざわざこうして話し合いの場を設けてまで嘘をつくような人には、到底思えない。とはいえ、鵜呑みにするのもためらわれた。だって私は、彼のせいで何年も暗い靄を抱えていたのだから。


「俺はずっと、西本にちゃんと謝りたかった。謝らなきゃ、いけないと思ってた」


木目調が目に優しいテーブルの上、相良くんの骨ばった長い指が組まれて、願い事でもするかのように固く握られている。


「ごめん。本当に、ごめん。謝って済む話じゃないかもしれないけど、……これは俺の自己満足なのかもしれないけど、西本の顔を見て、謝りたかった」


頭を下げた彼が、言い終わってからゆっくりと姿勢を戻す。
私が声を発しようとした時、頼んでいたドリンクが運ばれてきて、口を噤んだ。