ピーク・エンド・ラバーズ



届くかな。伝わってるかな。
気持ちの分だけ、無限に心拍数が上がっちゃえばいいのに。そうしたら目に見える形で、おんなじだねって、確かめ合えるのに。

でも、そんなことしたら死んじゃうから、もう一度ちゃんと言おう。


「私は、津山岬が、この世界で一番好きです」


不確実な感情も、移ろいやすい恋情も。この世に絶対なんてないし、明日の保証もない。それなのに、彼は軽率に「ずっと」と言うし、私も簡単に「一番」なんて言う。
そうやって言葉にしていくことが近道であるし、幸せを創っていくことになるんだろう。

そして、幸せになるんだとしたら、幸せにするんだとしたら、津山岬、君しか考えられない。


「……なん、で……」


私の背中にそっと手を伸ばして、津山くんが言い淀む。


「何で怒んないの……俺、無理やり、」


その先はなかった。私が、彼の唇を塞いだから。


「無理やりじゃないよ」


目の前の瞳が大きく揺れる。

私が岬としたいと思ったから、逃げなかったの。
彼の耳元に口を寄せてそう囁けば、津山くんは耐えかねたように私の肩に顔を埋めた。腕が背中に回って、服に皺ができてしまうんじゃないかというくらい、強くしがみつかれる。

やがて嗚咽が漏れ出して、その背中をあやすように摩った。