まだ制服を着ていた自分たちの姿を脳内でなぞっていたら、津山くんから放たれたのはそんな言葉だった。
さすがに想定外だ。え、と気の抜けた声が喉から漏れて、私はひたすらに瞬きを繰り返す。
「あんな風に怒られたこと、今までなかったっていうか……加夏ちゃんは怒ったつもりなかったのかもしんないけど」
「いや――あれは、普通に私の八つ当たりみたいな感じだから」
「うん。……まあ、ほんとはその後」
「その後?」
津山くんからこんな話を聞くのは新鮮だった。
どうして彼が私のことを好きなのか、好きになったのか。未だに細かい部分は分からないままだ。
「必死になってる俺は、嫌いじゃないよって。加夏ちゃんが、言ってくれたんだよ」
確かに、言ったかもしれない。それは今でも思う。余裕のない津山くん、照れて恥ずかしがっている津山くん。そっちの方がずっと可愛くて、心臓がぎゅう、と苦しくなるのだ。
「……俺、中学の時に初めて付き合った彼女に、余裕なくてダサいって言われちゃってさ。ダサいのって、俺の中では絶対に『だめ』だったんだよね、その時から」



