ピーク・エンド・ラバーズ



どうやら、相良くんのことをそういう風に捉えているらしい。
じゃあ会話の内容までは聞かれていなかったかな、と胸を撫で下ろした。苦い記憶だし、相良くんにも「忘れて」と言ったわけだし、もう掘り返したくはない。


「いや――俺は、西本とバイト先が一緒で……」


津山くんが私の顔を振り返る。ほんと? とその唇が動いたから、一度だけ頷いた。
相良くんに軽く頭を下げた津山くんは、「すんません」としおらしくなる。


「あの、相良くん。そういうことだから。私、彼氏いるし、一緒には帰れない」


影から顔を出して、そう伝える。そろそろ気まずさも限界だ。

繋いだ手を今一度しっかり握って、「行こう」と津山くんを引っ張る。戸惑ったように相良くんを見やった後、津山くんは私の隣に並んだ。


「……加夏ちゃん」

「うん?」

「あの、……いいの? なんか、大事な話してた感じ?」

「ううん。何でもないよ」


もう相良くんとは別れたんだから、その話はしたくない。
ぎゅう、と津山くんの手にしがみつくようにしていると、「どうしたの?」と聞かれてしまった。


「繋いでたらだめ?」

「え? いや……だめなわけない、嬉しいけど……」

「岬が嬉しいなら、いいじゃん」