話って何? そう問おうとした喉は震えて、うまく言葉を発することができない。
私の代わりに、相良くんが切り出す。
「……突然呼び出して悪いんだけど、その」
彼の骨ばった手が、所在なく自身の頭を掻いた。
妙な沈黙と緊張感。握った拳に汗が滲む。
相良くんの顔が上がって、背筋が伸びる。真っ直ぐ私を見据えたまま、彼は告げた。
「俺、西本のことが好きです」
言われた瞬間、あんなに揶揄われて予想もしていたのに、純粋にびっくりしてしまった。
本当に告白って、こんなことってあるんだ。シャッターを切っていたら、突然カメラを取り上げられたみたいな、そんな驚き。
むしろ私の方が呼吸の仕方を忘れてしまったように、しばらく固まっていた。
「あ、……えっと」
「俺と、付き合ってくれませんか」
胸が苦しい。
目の前の綺麗な瞳と、染まる頬と、たどたどしい言葉に、心臓が容易く絞られている。
相良くんはゆっくり目を伏せて、私の返事を待っていた。
正しい答え方なんてまるで分からないけれど、断る選択肢は、端からなかった。
「……はい。私で、良ければ」