ピーク・エンド・ラバーズ



たったそれだけで、彼は今まで私をこんなに――?
考えていることが伝わってしまったのか、津山くんは「俺にとっては大事なの」と照れ臭そうに付け足した。


「意味、分かんない……ほんとにばかなんじゃないの……」


強がることでしか、もはや感情を制御できなかった。一度緩んでしまった涙腺はなかなか締まってくれなくて、目頭が熱くなる。


「うん。でも、俺がばかでも加夏ちゃんがいてくれるから、いいよ」


泣かないで、と彼の低い声が耳朶を打って、その響きに潜んだ甘さが私を蝕んでいく。


「違……津山くんのが移ったの」

「ふは。俺のせい?」

「津山くんの方が、泣いてたくせに」

「ダサい?」

「うん」

「ダサい俺でもいいって言ったの、加夏ちゃんだよ」


だから責任取って。
今度こそ潜んでも隠れてもいない、甘ったるい声だった。私に受け取ってもらえると――受け取ってもらえなくてもいいと割り切ったからなのか、そういった熱を臆面もなく差し出してくる。


「ね、俺のこと、ちょっとは好き?」


完全に浮かれた口調で、津山くんが問うてきた。頷いた私に、彼は「どれくらい?」と追及の手を緩めない。


「これくらい?」