ピーク・エンド・ラバーズ



自分で羅列していて、散々だな、と思う。そんなぐだぐだな彼女、私が男だったら絶対に嫌だなって、あり得もしないイフを考えている。


「それでも、いいの? 津山くんの気持ち踏みにじって、全然可愛げなくて、それなのに、私――」


苦しい、と。そう思ったのは、津山くんの汗の匂いに抱き締められたからだった。
いつも香っている爽やかなそれじゃない。もっと汚くて生々しくて、でもこれが津山くんの匂いだ。


「……いいよ……いいに、決まってるよ……」


ああ、せっかく拭いたのになって、呑気なことを考える。
津山くんはまた私の肩に顔を埋めて、そこがじんわり熱くて、彼が泣いているのが分かった。


「俺の彼女が可愛くないわけないんだから……いいんだよ……! 自信とか、そんなのなくても……俺が好きだから、どうでもいいの……」

「どうでもよくないよ」

「いいよ。加夏ちゃんへの気持ち、加夏ちゃんにだったら踏まれても何されても、どうだっていい。好きにして……ついでに、俺のことも、めちゃくちゃにしてよ」


津山くんの心の叫びが、私の心臓を抉った。
どうして、そこまで言えるんだろう。何もかも、差し出せてしまうんだろう。私は全然足りてない。この熱量に、敵わない。


「……津山くんって、ばかだね」