もごもごと濁す彼に、不覚にも可愛いと思ってしまう。
決めきれていない。何も結論は出ていない。けれども、意地を張るのだけはもうやめようと、今の彼を見て決めた。
「津山くん」
彼の頬に手を伸ばす。触れた瞬間、津山くんは目を見開いた。
「私、津山くんのこと、嫌いじゃないよ。嫌ってない。別れたいとかそういうんじゃなくて、少しだけ自分の気持ちを整理したかったの。そうじゃないと、津山くんに失礼だと思ったから」
「……え、」
「本当はあの日、津山くんが女の子に触られてるのが嫌だった。それを分かってない津山くんにいらいらした」
嫌いじゃない。それは確かで、じゃあ好きでもないのかと聞かれると、きっとそうではない。私は多分、津山くんが好きだ。好きなんだ。
でも彼の気持ちと比べた時に、私の気持ちは「好き」と定義していいのか分からなくなって、堂々巡りだった。
「ほんと自分勝手だけど、津山くんの彼女でいる自信がなくなって……すごい卑屈になってた。津山くんにも八つ当たりしてた。ごめん」
加夏ちゃん、と彼の唇が動く。声にならない声が、私を呼んでいる。
「ねえ、津山くん。私、津山くんみたいに上手く『好き』も言えないよ。たまに自分の気持ちも分かんなくなるんだよ。津山くんとおんなじ気持ちでいられるかも、分かんないよ」



