ピーク・エンド・ラバーズ



「お疲れー」

「お疲れ様です」


ようやく二十二時。今日は特別忙しいわけでもなく、すんなり退勤できた。
人を待たせているのが負い目となって、普段よりも急いで着替えを終わらせる。


「あ、加夏ちゃんおつ~。さっきゴミ捨て行ったら、店の前で彼氏くん待ってたよ。良かったね、超ラブじゃん」

「あー……はは、はい、お疲れ様です」


さっきからネガティブな思考回路に取り憑かれていて、うまく笑えない。曖昧に会釈をして、足早にその場を後にした。

店を出て左右を確認し、津山くんの姿を探す。先輩はさっき店の前で見かけたと言っていたけれど、ぱっと見はいない。
一体どこに行ったのだろう、とため息をついてスマホを取り出した時だった。


「あ、加夏ちゃん! お疲れ」


その声に顔を上げると、津山くんがこちらへ向かってくるところだ。片手にコンビニの袋を提げている。
彼はそこからペットボトルを取り出して、私に差し出した。


「喉乾いてない? お茶いる?」

「え、これ津山くんのじゃないの?」

「俺はさっき散々飲んだし。あ、いや、いらないなら俺が持って帰るけど」

「あー……うん、じゃあもらう。ありがとう」