ピーク・エンド・ラバーズ



意外。意外、意外……か。意外ってなんだっけ。
栞さんは「正解なんてない」って言っていたけれど、私は正解が欲しかった。こうすれば正しくて、それをしたら間違い。そんな指標がないと、もうどうしていいか分からないのだ。

やっぱり、津山くんと私では、いるべき世界線が違う。
そもそも彼は色んな人から求められてしまう人だし、彼もそれに応えざるを得ない人だから。いちいち、今更、気にしたところでどうしようもない。
そんなことはずっと前から、好きになる前から分かっていたはずだ。

だって、ずっと違和感しかない。津山くんの隣に私がいていいのかなって。
綺麗で可愛い今時の女子大生が座っているたった今。この瞬間の方が、彼にはずっと似合っていた。


「西本、三卓のバッシング終わった?」


いつの間にか緩慢になっていた手が、その呼びかけで再び取り繕うように動く。


「あー……結構いっぱいあるな。俺ここのグラス全部持ってくから、あと拭いといてくんない?」

「はい、すみません……ありがとうございます」


颯爽と登場した一太(いちた)さんは、栞さんと同い年の頼れる先輩だ。
食器やグラス類は、男手があるとやはり助かる。げっそりしていた気分が、少しだけ回復した。