*
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
その日は少しだけ最後の講義が長引き、急いでバイトに向かった。何とかぎりぎり間に合って呼吸を整えつつ、三十分ほどホールで動き回っていた時のことだった。
「あー……と、五名です」
大学生だろうか。私と同年代の男女グループが来店し、つと視線を奥に投げ――
「な、」
見覚えのある、ミルクティー色のマッシュヘア。彼は私に気が付くと、へらりと笑って小さく手を振った。
「……失礼致しました。どうぞ」
さっと顔を逸らして、勤務モードで彼らを席に促す。簡単に説明を終えて踵を返したところで、厨房に入るなり項垂れた。
何で津山くんがいるの。いや、バイト先はお互い知ってるし不思議じゃないけど。だったらなおさら私がいる時に来ないで欲しかった!
「加夏ちゃーん、これ四卓に持っていってー。あと今の五名ついでにドリンク……どうかした?」
夢乃さんが私の顔を見て首を傾げる。
「……来ました」
「ん? 何が?」
「彼氏が、来ました」
「えっ、まじ!? ちょ、みんな大変、加夏ちゃんの彼氏ご来店なんだけど!」
厨房の奥で洗い物をしていた栞さんが、「えー!」と甲高い声を上げる。
「どこ? 七卓? あそこの人?」
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
その日は少しだけ最後の講義が長引き、急いでバイトに向かった。何とかぎりぎり間に合って呼吸を整えつつ、三十分ほどホールで動き回っていた時のことだった。
「あー……と、五名です」
大学生だろうか。私と同年代の男女グループが来店し、つと視線を奥に投げ――
「な、」
見覚えのある、ミルクティー色のマッシュヘア。彼は私に気が付くと、へらりと笑って小さく手を振った。
「……失礼致しました。どうぞ」
さっと顔を逸らして、勤務モードで彼らを席に促す。簡単に説明を終えて踵を返したところで、厨房に入るなり項垂れた。
何で津山くんがいるの。いや、バイト先はお互い知ってるし不思議じゃないけど。だったらなおさら私がいる時に来ないで欲しかった!
「加夏ちゃーん、これ四卓に持っていってー。あと今の五名ついでにドリンク……どうかした?」
夢乃さんが私の顔を見て首を傾げる。
「……来ました」
「ん? 何が?」
「彼氏が、来ました」
「えっ、まじ!? ちょ、みんな大変、加夏ちゃんの彼氏ご来店なんだけど!」
厨房の奥で洗い物をしていた栞さんが、「えー!」と甲高い声を上げる。
「どこ? 七卓? あそこの人?」



