ピーク・エンド・ラバーズ



栞さんは結んでいた髪を解いて、違う? と私に投げかける。


「どう頑張っても私たちはさー、結局主観でしか判断できないんだよね。友達のことは客観的に『いやその男はやばいだろ!』とか分かるけど、自分のことになるとポンコツになったりするじゃん」

「なに、今度はしおりんの話?」

「そうそう、私もやばい男に引っかかってたわー。って、いやそれは例えばの話!」


ユーモラスを交えながら、彼女が私のために親身になってくれている。それがよく伝わった。


「同じ気持ちって、誰が決めるの? って話ね。正直、『好き』に大きいも小さいもないと思うってのが私の意見だけど。だって、人によって恋愛の優先順位違うじゃん?」


なるほど、と栞さんの言葉を胸中に落とし込んで、思案してみる。
彼女の言っていることも言いたいことも、きちんと理解したつもりだった。実際的を得ていると感じる。

でも、なんだろう。なんというか、依然としてこのままでいいのだろうか、という不安は拭えない。
こんな不確かな気持ちで付き合っていて、津山くんにも少なからず申し訳ないという気持ちはあるし、失礼なんじゃないだろうか、と内省したくなるのだ。


「ま、何はともあれ、加夏ちゃんの彼氏見てみたいから、今度連れてきてよ」

「えっ」

「実物見ないことには始まらんよね~」


マイペースな先輩たちの提案に頷きはしなかったものの、後日思わぬ形で実現することになったのである。