高校1年生、野外活動の迫る9月。


暑さの残る季節を、涼しげな風が駆け抜けていた。

窓の外を飛ぶ鳥は、楽しそうで。

“人間関係”に縛られる私には実に羨ましいものだった。


…なんて、そもそも私は人間関係を保ち縛られる以前の話。


高校生という青春のひとときを、1人読書で過ごすなんて、自分でも可哀想だと思う。

それを自らが望んでこうなったならまだいいんだろうけど、私はこんなの望んでなかった。


私だって、たくさん友達作って、たくさん笑ってはしゃいで、そうやって過ごしたかったのに。


「よっちゃんっ」

ふふっと笑いながら話しかけてきた聞き覚えのある声に、ドキリと心臓が嫌な音を立てた。

…聞き覚えのある、嫌な声。