あの日から、しおんが指導者となって力を出す特訓が始まった。
いつもカリカリしているしおんに、最近はムカついていてなにをするにも訓練がつきものになっている。
「おい……もっと集中しろっ」
「してるってば!あー、もー、だいたいなんでこんなことしなきゃいけないわけ?いみわかんない!」
リビングで両手をかざして、念じるようにテーブルの上にあるコップに入った水を、振動させる。
「ごちゃごちゃ言ってないで手ー動かせ!」
むかつく~!!
ガタガタ振動しているコップの水は、その数分後、ゆっくりと空中に上がり個体になった。
勢いよくりおんめがけて飛んでいく――……。
りおんの真横につららのような先のとがったものがささる。
「っ!?……てめー‼俺を殺すきか?!……っち。ま、力を一つ身に付けたようだし、もういいだろ」
「ってことは!?」
「はーぁ……終わりだ終わり。あれから一ヶ月も時間むだにしやがって……敵も来ねーからいいけど。さっさと一日でおわらせろ。ふんっ」
最後だけ、なぜだか口角が上がって今さっきの態度よりかは、機嫌良さそうに見えた。
しおんがわからない……。
「あー、やっとおわったかーよかったねーしおんー」
りおんが、暖かそう格好で黒い羽を広げて庭に現れた。透明なガラスをコンコン、と叩く。
抱き抱えているのは眠らされているお母さん。
「なっ、なにしたのりおん!?」
急いで私が開けてあげると「ちょっと飛んでるとこ見られちゃってたみたいで寝かせといた」と苦笑い。
中にはいると黄色いソファーにお母さんを寝かせて私たちを見る。
大丈夫、なのかな……?


