家ではいつもの勉強と空いた時間に有希乃とお喋り、そして訓練の時間になる。
実は、訓練とはただ幻視の特訓だけではない。

適度な運動……というには聊か激しすぎる。だけどオレにとっては運動だろう。
幻視の特訓をする部屋以外にも、訓練の名を実行する部屋はいっぱいある。

何をする部屋か……言うまでもないけど訓練であり運動。
運動って言ってもスポーツや筋トレではない。まぁ筋トレはやるけど、メインはそれではない。
何故ならこの訓練はやはり玄武としての訓練。そのための“体術”を身に付けるための訓練だから。

守護四神の玄武は先祖代々より“弓道”を得意として、自身の象徴としていた。
そのために作られたと言われるのが玄武が象徴、玄武弓アレスという弓。
玄武ならば持っていて当たり前の武器であり、持っていないと玄武とははっきり名乗れないだろうほど重要なもの。

――けど、オレはその玄武弓アレスを持っていない。受け継がれていない、前玄武こと、オレの父から。

理由は父の死に関係するらしいが詳しくは分からない。けど受け継がせたくても受け継がすことが出来なかった、と母上は困りながらも説明してくれた。
なら、しょうがない。ないものを強請った所で手に入る訳がない。
それにないのならば創造すればいい。それがオレの幻視の力でもあるのだから。

……今は全く幻視の力を使いこなせないから何とも迫力ない台詞だが……。