「俺と同じところにいなかったのに見えてたのかよ。それとも当てずっぽうか」
「じゃあ聞くが、あのまま長髪の女子に投げられて醜態をさらすのと、不意に投げられて全く関係のないオレが卑怯者呼ばわりされるの、どっちがいい?」
「そんなもん関係ねぇお前が、ああだこうだ言われる方が俺の評価に響かない。だけどそんなことしてお前になんの得がある? 意味ないだろ? それが納得できないな」

おいおい話題が瞬時に変わってないか。つかれる奴だ。まぁいいだろう。答えてやるよ、その質問に。

「意味はあるさ。オレの試合をチャラに出来る。オレはお前と違って女子と試合をするのに抵抗があるからな。おかげで助かった」
「なんだよそれ、本気で言ってるのかよ」
「ウソを言ってるように見えるか」

完全に胸倉に込められた力が抜け、そして手が離れて行った。どうやらオレの言葉に共感を得てくれたようだ。
なかなか話の分かる奴だな。まぁちょっと性格に問題ありだが。