はぁなんのためにここに来たんだか分からないな。
これが原因で受かんなかったらどうしたものか? どうせ試合してもいい結果は出ないだろうし、それならやりたいことをした分いいだろう。
あのまま見過ごすことなんて出来なかっただろうし。

男を引きずってすぐ先にある階段に腰掛ける。

「お前、何してくれる訳? あれでカッコいいつもりかよ。調子に乗ってんじゃねぇぞ」

あぁデジャブだな。まぁ胸倉を掴まれているのはオレだけど。
ちょっと休んだら元気になったらしい。積もる文句のはけ口をオレに向けて、いろいろと言われている。
こうなることは分かってたんだけどな、めんどくさいもんだ。

「どっちにしろ、オレが投げなくてもあの長髪の女子に投げられてたんだぜ? 一瞬の動作だったけど、お前が殴りかかろうとしてたんだ。分かるだろ? あの長髪の女子が投げの体制に入ってたこと」

ちょっとだけ力が緩んだ。ということは分かってたんだな。あのままだと自分が逆に投げられていたことに。