言葉もなく強い眼差しで返ってくる。
何を言ってくるのか気になり足を止めておいた。しかし何も言うつもりはないのか、それならさっさと退場するまで。オレは一歩足を動かした。

「何故、邪魔をした?」

やっと返ってきた言葉に反応して止まる。

「誰かが止めないと終わらないだろ? あの場で止められれたのはオレくらいだ。だから止めた、ただそれだけだ」
「自分の試合を投げ出し、なおかつ自分の評価を下げることだと分かっていての行動か」
「オレの言葉で返す必要はないな。なら、なんでお前は自分でないそっちの子のために文句をつけた?」
「それは――――――」
「――――――そうだ、気にいらなかったから。ただそれだけだ」

それだけで長髪の女子は納得したのだろう。何も言ってこない。
そうしてオレは注目を浴びながら男を引きずって道場を退場した。