お兄ちゃんは、
何もうつさない私の目を見て、
涙を流した。





「ど、してっ…」



「…姫は瑠稀のために感情を捨てたんですね」





…心姉。





「それって、どう、言う…」



「命様が言ってましたよ。
姫が瑠稀の翼のために感情を捨てたって」



「…じゃあ、僕のせい…」



「違う。お兄ちゃんのせいじゃない。
あの時の私は、お兄ちゃんにもう一度
空を飛んで欲しくて、
私のせいで大好きな空を飛べなくなるのが
嫌だって思ってた。

感情を代償にしたのは、私。
私が自分で望んだこと。
お兄ちゃんのせいなんかじゃない」