お兄ちゃんは入ってきた瞬間、 目を開けている私に飛びついてきた。 「…お兄ちゃん」 「……ひ、め?」 声になんの色もない。 お兄ちゃんの声は、心配、驚いてる声。 でも、私の声は、なんの感情もない声。 「ど、した? 笑えよ…」 「…ごめんなさい。 笑えないの」