「きみ、一気にこんだけ大勢の精神に働き掛けて何がしたいわけ? 個別に操らなきゃ細かい指示は出せないから、使いにくいでしょ?
いや、人間くんのほうじゃなくて、そっちの金ピカに訊くのがいい?」
祥之助が黄金色に触れた。
黄金色がうなずいた、ように見えた。
その瞬間、チカラが、祥之助を起点として竜巻のように吹き荒れる。
ふらふらとあてどなく歩く人々が動きを止めた。
方向転換。そして、軋《きし》む音を鳴らしそうな足取りで、そのくせ妙に素早い歩調で、一斉にこっちへ向かってくる。
生気のない、顔、顔、顔。
瞳孔が拡散した目。
締まりのない口から、よだれが糸を引いている。
下着同然の姿の人々は、露出した皮膚にあちこち傷を作っている。
その痛みも感じていない様子の無表情。
足を引きずっては段差につまずいて転んで、ますますボロボロになった姿で平然と立ち上がる。また歩いてくる。
ゾッとして、ぼくは体がこわばった。



