異様な放心状態の人々は、バラバラの方向へ歩き出した。
近寄られた人は、触れられるのを恐れるように、後ずさって逃げる。
ホラーゲームの世界にでも迷い込んだみたいだ。
鈴蘭さんは青獣珠をかばうように胸に手を当てた。
「あの人たち、何なの?」
「こっちの市では問題になってませんか?」
「初めて見ました」
「大都高校のあたりでは最近、ああいうのがけっこういるんですよ。犬や猫に始まって、ここ数日で人間も」
まっすぐこっちに向かってきた祥之助が、立ち止まった。
ぼくたちとの距離は、およそ五メートル。一歩で踏み込むには少し遠い。



