リアさんの一件を詳しく教えろと言われた。


けれど、教えられるほどの進展もない。



「またそのうちに」



はぐらかしておく。


髪を切ってもらった後に報告してやろう。



「海牙、おまえ、逆ナンされすぎだろ」


「応じたことはありませんし、昨日のは逆ナンとは違いますよ」


「おまえから声かけたわけ?」


「双方合意の上でした」


「言い方が怪しすぎ」



軽口を叩き合って、力の抜けた笑い方をする。


登校中のこの時間はいい。


でも、学校に到着すれば、息もつけないような競争社会。


ぼくと瑠偉はつねに上位にいて、下位から徹底的な敵意を向けられている。