帝王は、いちばん近くに倒れている黒髪の彼のペンダントをつかみ上げた。
黒髪の彼は、そうね、いい子だわ。
つかみどころがなくて賢くて生意気だけど、わたしが見つめると、戸惑って目を泳がせる。
そんなアンバランスなところがかわいかった。
彼は小さく呻いてまぶたを開いた。
彼のダークグリーンの目が、焦点を揺らしながらも、帝王をにらむ。
「渡さない……」
彼の指先が動く。腕が震える。
でも、何の抵抗もできない。
帝王は立ち上がってペンダントを掲げ、彼の頭を踏み付けて高らかに笑った。
「もうもらったよ! 玄獣珠《げんじゅうしゅ》はボクのものだ」
「……返、せ」
「へえ、まだそんな反抗的な目をする元気があるのか。せっかくだから、選ばせてやろう。どんな死に方をしたい? 望んだとおりの形で殺してやる。
簡単なことだよ。玄獣珠に願いを掛ければいい。派手なショーを見せておくれ、とね。願いの代償は、おまえの命だ」



