「不利とわかっている勝負に突っ込むのは、ぼくの主義ではありません。避けられるのなら避けたいものです」
「残念ながら、人生は、残機ゼロの強制スクロールだよ。ステージを進めば勝手にセーブされ、リセットはできない。
進める限りに進むしかなく、手にするクレジットはゲームクリアかゲームオーバーか、二者択一だ」
「システムにバグがあったとしても、それが仕様であるとの一点張りで、お詫びのボーナスアイテムも支給されないクソゲーですよね」
「散々な低評価レビューが続けば、その一枝というクソゲーも、さすがに配信と運営をストップせざるを得ない。
生長に失敗した一枝たちは淘汰され、より遠い未来へと生長し得る一枝たちが次の世代へと伸びていく」
「淘汰に、世代か。まるで機械学習の物理演算ですね。最近、人工知能の機械学習について書かれた本を読んだんです。
人工知能の学習の過程は、遺伝学になぞらえた言葉で表現されるんですよね」
思いがけず、総統が嬉しそうに微笑んだ。
「私も、ちょうど今、AIの本を読んだり動画を観たりするのにハマっていてね。あれはおもしろいな。
ビジネスのどういう分野にAIが導入できるかという視点ではなく、科学技術として純粋におもしろい。もっともっと知りたくなる」



