LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―



ぼくは総統の書斎を訪ねた。


総統は忙しい人だ。


でも、事前に予約を入れる必要はない。


総統は万事の掌握者だ。


ぼくの行動くらい、何もかも見透かしている。



ノックをして扉を開ける。


総統は、くつろいだ和服姿で執務机に向かっていた。



「お仕事中、失礼します。お耳に入れておきたいことがあるので」



総統の顔立ちが不思議な印象を持つのは、左右の誤差がきわめて小さいせいだ。


頭蓋骨の形状も東アジア人として理想的なバランスを成しているから、文字どおりの意味で、総統は格好がいい。


四十代後半。加齢による皮膚の緩み具合さえ、計算したように端正だ。



「そろそろ来るころだと思っていたよ。ゲームセンターでのデートは楽しかったかい?」



総統の能力は計り知れない。


心の声も記憶も読まれてしまう。


まあ、報告の手間が省けるから楽だと思っておこう。


そうでなければ、強大なチカラへの恐怖に負ける。