ハロウィンの晩、わたしは魔法に掛けられた。
弟に頼まれて、海牙くんの仮装を手伝ってあげて、こっそりドキドキしながらも、何ともないふりをし通せると思ったのに。
わたしは出来心で、海牙くんにキスをしてしまった。
甘い甘いお菓子だった。
それが彼のファーストキスだったと聞かされて、嬉しくて、ときめいて、抑え切れなくて。
欲張りな自分の心に気付かされた。
弟たちの文化祭を観に行った、十一月の土曜日。
わたしと海牙くんは一緒に回った。
隣同士でしゃべったり笑ったりしながら歩いて、そのくせ、お互いの手に触れることさえしなかった。
曖昧で、じれったかった。
別れ際が寂しくて、暗くなった公園に寄った。
ベンチで隣り合ったら、今度は何を話すこともできなかった。
時間が流れた。体が冷えた。



