ぼくは唖然とした。
「あれが本当に文天堂祥之助ですか?」
お坊ちゃんで成績優秀で、同級生から一目置かれているらしい。
そんなごく普通の優等生が、ぼくの前にいる。
瑠偉がぼくの隣で、含み笑いをした。
「そんな顔すんなって。あいつはあれでいいんだよ。憑き物が落ちたってやつだ」
「信じられない」
「とは言ってもなあ。まわりにいろいろ話を聞いてみた限りでは、今のあれが本来の文天堂祥之助みたいだぞ。
金持ちの息子で、何でもできすぎるから、無意識のうちに嫌味な言動をすることはあっても、怨んだり怨まれたりってキャラじゃないみたいだ」
「でも」
「不安や疑問があるなら、自分であいつと話して、確かめてきたらどうだ? 心配ねぇよ。理仁の暗示はちゃんと効いてて、あいつは何も覚えてない」



