屋敷に住んでいるのは、ぼくやさよ子さんだけではない。
ここは「KHAN《カァン》」という特殊な組織の拠点でもある。
組織の総統であり、屋敷の主である人の名は、平井鉄真《ひらい・てっしん》。
ここには、総統に招聘《しょうへい》された人材がたくさん住み込んでいる。
そう、ぼく以外にも人はいるのに。
「海牙さん、明日ですからね! 絶対、明日の約束は守ってくださいね!」
なぜ面倒事が回ってくるのは、ぼくなんだろう?
ぼくは明日、さよ子さんの護衛をしなければならない。
「はいはい、十九時に玉宮駅前ですよね?」
「返事の『はい』は一回!」
「……はぁ……」
「あ、今のため息、すっごくセクシー♪ それでですね、明日のことなんですけどー、って、ちょっとねえ海牙さん聞いてますー?」
「聞いてますよ」
大都高校が男子校でよかった。
女子の意味不明なテンションにはついていけない。



