思考も呼吸も吹き飛んだ。
後ろから、ふわりと抱き付かれたせいだ。
「ちょっ、え、なっ……あの、リアさん?」
しなやかで白い腕がぼくの体の前で交差して、後ろ髪の掛かるぼくの首筋に、リアさんの額が押し当てられている。
背中に、柔らかい膨らみを感じる。
「ちょっとこのままで」
「あ……め、めまいでも、しますか?」
一瞬のうちに加速した鼓動を、きっと聞かれてしまう。
体が熱くほてっていく。
リアさんが少し笑った。
吐息のくすぐったさを、ひどく敏感に背中が知る。
「ありがとう」
「な、何のことです?」
「覚えてるから。見えていたから。きみがわたしのために言ってくれたことも、わたしのために戦ってくれたことも、涙を流してくれたことも。全部、ありがとう」



