理仁くんの両眼は危険そうに朱く燃えている。
祥之助はもはや怯《おび》え切って、悲鳴すら上げられない。
煥くんが止めに入った。
「気持ちはわかるが、やりすぎるなよ。こいつ、軟弱そうだから、すぐ死ぬぞ」
「今、殺意あるよ、おれ」
「だから、こんなやつのために自分をすり減らすなって」
「理屈じゃねーんだよ。姉貴をこんな目に遭わされてさ、ねえ、何て言やいいんだよ、この感情?」
「それでも、落ち着け。あんたが本気で命じたら、こいつ、本当に死ぬかもしれないんだぞ。そしたら、一生、こんなやつの記憶があんたに付きまとうことになる」
理仁くんが肩で息をついた。
「自分で自分に号令《コマンド》できりゃいいのにねって、しょっちゅう思うよ。気持ちを切り替えたいとき、スパッとやれりゃ楽なのにね」



