【わ、我を足蹴にするとは、無礼な! おぬしら、ただではおかぬぞ!】
「男に蹴られるのが不満だそうです。リアさん、鈴蘭さん、踏んであげてください」
【ふざけるな!】
「まあ、喜ばせてやる義理もありませんね」
わめく黄帝珠の形状を観察する。
氷を乱雑にアイスピックで割った感じだ。
割れ目がギザギザしている。細かなひびも入っている。
「海牙、こいつをどうする?」
「そうですね。すでにずいぶんと脆《もろ》そうですが」
球は、あらゆる形の中で最も表面積が少ないから、最も安定した形だ。
かつての四獣珠の預かり手が完全体の黄帝珠と対峙したとき、球である宝珠を破壊するには、きわめて大きな力が必要だっただろう。
黄帝珠は今、かなり安定を欠く形をしている。
硬い上に不安定となれば、負荷の加え方次第で、簡単に割れるはずだ。



