漆黒の扉の前に立ったときから、ここが最奥部だと感じていた。


扉を押して開く。


ぼくはその部屋に足を踏み入れる。



壁も床も天井も黒曜石でできているかのように艶めく漆黒の部屋だ。



赤、青、黄、緑と、さまざまな色の淡い光が、ふわふわとただよっている。


光が偶然、重なり合えば、そのときだけ少し強い輝きが現れる。



淡くない、ぎらついた光がある。


けばけばしい黄金色が、部屋の中央で異質な存在感を主張していた。



「遅かったな、阿里海牙。しかも、おまえひとりか?」



祥之助は、浮遊する黄帝珠の破片を王冠のように頭の周囲にまとって、仰々しく巨大な椅子の上で脚を組み直した。


椅子のデザインに見覚えがある。


懐中時計と同じゴールドで、バラと宝石がしつこい。