誘い文句が、リアさんの唇によって紡がれている。
その唇の動きが読めない。読唇術は得意なのに。
ぼくはそれほど、動揺している。
リアさんの白い体。
見下ろす視界には、魅惑に満ちたあの胸の膨らみ。
【なぜ】
リアさんの舌が、赤いルージュの唇をなめる。
柔らかそうなその舌と唇に噛み付いてみたいと、ぼくの体の奥が騒ぐ。
【なぜ、こんなことを】
リアさんの両手がぼくの頬を両側から包んだ。
さらに半歩、リアさんがぼくに迫った。
【見たい。だけど、ぼくが本当に見たいのは】
妖艶な笑みを前に、めまいがする。
欲望に呑まれてしまいそうだ。頭が混乱する。
思考と感情と理想と妄想がごちゃ混ぜになっている。
【触れたい、悲しい、触れたい、やめて、やりたい、そうじゃない、さわりたい、否定したい、誘ってる、誘ってない、誘われてる、あなたの本心は】
唇が近付く。



