音も声もない。
そのぶん、視覚に集中させられる。
リアさんがトレンチコートのボタンに手を掛けた。
思わせぶりにゆっくりと、ボタンが外されていく。
コートがはだけられる。
その内側に隠されていた光景に、息が止まる。
胸の谷間もウェストラインもあらわな赤いドレス。
丈はコートよりも短くて、太ももがまぶしい。
ストッキングを吊り上げるガーターベルトが、むっちりと肉に食い込んでいる。
コートが、するりと、肩から落とされた。
見てはならない。でも、見たい。
「や、やめてくださいよ、急に……」
心とは裏腹な言葉で、ぼくはいい子のふりをしようとする。
リアさんは何もかもを見透かしているかのように妖艶に笑って、ゆっくりとぼくの周囲を歩き回った。
触れそうで触れない距離。
朱い髪が揺れる。香水の匂いがぼくの鼻に刺さる。



