悔しい、と聞こえてきた。


リアさんの声だ。



――許しておけない現実を、変えられない。チカラがない。


――そんな自分が悔しい。


――誰よりも何よりも激しい怒りの対象は、わたし自身。



怒りの涙に泣き崩れるリアさんを前に、ぼくは為す術《すべ》がない。


煥くんが再び言った。



「先に行けって。しばらくはこうしていられる。力尽きるまで、オレはここで防ぐから。さっさと行けよ!」



ぼくと理仁くんはうなずいた。


後ろ髪を引かれながら、イヌワシに続いて隠し扉をくぐった。