後ろ姿の煥くんは、状況を察したらしい。



「この病院の空間から、このリアさんは出られねぇんだろ? ほっとけねえ。こんな量の涙に呑まれて、平気なわけがない」



理仁くんが唇を噛んだ。


絞り出すような声を震わせた。



「イケメンすぎるってば、あっきー。海ちゃんもだよ。おれだけじゃ全然ダメじゃん。

おれ、姉貴にそんな優しい言葉、かけてやったことないよ。姉貴がすぐ隣できつそうにしてんの知ってても、どうすりゃいいかわかんねーもん」



リアさんが少女のように顔を覆って泣き出した。


泣き声がぼくの胸を刺す。


理仁くんがリアさんの頭を撫でた。



「姉貴、ゴメン」