ぼくは顔に笑みを保ったまま、彼を計測する。
重心移動から読み取れる、身体能力の程度。
無機物の分子の存否でわかる、武器の有無。
彼のチカラは本当に「声」だけなのか。
彼は笑いじわとえくぼを作って、両腕を広げた。
「おれは、な~んもしないって。ケンカも強くねぇし、悪意なんて全然ねぇし? 『声』もさ、能力者やその家系の人間には、ほぼ無効なんだゎ」
「ほぼ無効、とは?」
「文字どおりだよ。おれの能力、マインドコントロールなんだけど。『号令《コマンド》』っつって。一般人には、けっこうどんな指示でも有効なのにね、
預かり手の血を引く人間は、そーいうのに耐性あるっしょ? 宝珠を守るための血だか遺伝子だかが、そんなふうに働く」
確かに、ぼくのような血筋の人間はマインドコントロールのチカラに抵抗できる。
よほど強力なものでない限り、支配下に入ることはない。



