ピン、と空気が張り詰めた。
チカラを感じた。
一つの「声」が、気迫の熱波を噴き散らしながら飛んできた。
【おいおいおい、ちょっとちょっと、いきなりそういうの困るよ~。一メートルぐらい後ろに下がってくれる?】
空気を振動させない、つまり音を伴わない「声」が、ぼくの耳を介さずに、ぼくの意識をダイレクトに打った。
何らかの攻撃性を秘めた「声」だと感じた。
驚いた。
まちなかでこんなに無防備にチカラを使う人がいるなんて。
「テレパシー、ですか?」
【え、何、おれのチカラ、効かないの? うっわ~。ってことは、きみも能力者?】
「チカラが効かない、とは? 今の声、ただのテレパシーじゃないということですか?」
【うん、命令するテレパシーのはずなんだけどね~。きみ、後ろに下がりたくなったりしてない?】
「してません」



