ショーケースの中身は古ぼけている。
さっきの丘の情景が鮮やかな色をしていたのとは対照的だ。
「姉貴が大事にしてたおもちゃや服だ。でも、捨てなきゃいけなかったからね」
ポツリと、理仁くんがこぼした。
あいづちも打てないぼくと煥くんに、理仁くんはポツポツと語る。
「うちの財産、増えたり減ったりのアップダウンすごくて、引っ越しも多くて、だいぶいろいろ捨てた。
まあ、ほとんど捨てたね。今、実家の中を探しても、何も出てこないよ。思い出系のもの、何も。姉貴はここにしまい込んでたんだ」
誰の思い出でも、可視化したら、こんなふうに陳列されるんだろうか。
ぼくだったら、何が並ぶんだろう?



