「ああ、文徳っていう。うちのバンドのギタリストでバンマスで、オレを無理やりステージに引っ張り出した人。オレは人前に立とうなんて思ったこともなかったのに」
理仁くんがうなずく。
「文徳も、まあ、姉貴と近いタイプかもね。度胸よくて、堂々としてて、面倒見がよくて。その理由が、頼りない弟を守るため、だもんな~」
【頼りない弟?】
煥くんが、ささやいているのによく通る声で、淡々と言った。
「オレが小学生のころ、両親が死んだ。ふさぎ込んでたオレを救ってくれたのは兄貴だ。本人には言えねぇけど、感謝してる」
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