駅前広場でのライヴの後、騒動があってリアさんがケガをしたとき、ぼくもリアさんの古傷を目撃した。
あの傷は、本来ならいだく必要もない罪悪感の証だったのか。
カッターナイフは、彼女を抱きしめる鈴蘭さんを避けて、正確に彼女だけを傷付ける。
青い空、緑の丘、動物たちが生きていた痕跡の赤黒い液体。
ぼくは、どうすることもできずにいる。
だって、どうすることができる?
リアさんの記憶を見せられて、過去を知って、小さな彼女を守りたいのに、どうすればいいのかわからない。
理仁くんが懐中時計に目を落とした。
「時間がねぇよ。先に進んだほうがいい」
言葉に反応して、イヌワシがふわりと飛び上がった。
彼が向かう先、丘に立つ大木に、いつの間にか扉がうがたれている。



