突然、スマホが鳴る音がした。ぼくではない。
彼女がぬいぐるみをバッグに落とし込んで、そのバッグの中からスマホを取り出した。
ぼくが目の前にいるのに、躊躇《ちゅうちょ》なく電話に出る。
「もしもし? もう、遅いのよ。ゲーセンの中にいる……うん、一階」
待ち合わせ相手がいたらしい。
まあ、そういう雰囲気だったし。
さっき、ぼくには「時間つぶし」と言っていたし。
スマホを耳に当てながら、彼女が伸び上がって手を振った。
ぼくは振り返る。
彼女と同じくスマホで通話中の長身の男が、軽く手を挙げた。
なるほどね。
イケメンだ。ぼくとは違うタイプ。
垂れ目がちで、唇が厚くて、肩がガッシリしている。



