ふと、ぼくは目を開けた。


硬い床の上に倒れている。



磨き込まれた木材が視界に映った。


体を起こすと、先に理仁《りひと》くんが目を覚ましていた。


木製タイルの壁に背中を預けて、ぼんやりと自分の手のひらを見ていた。



「お、海ちゃん、起きた?」


「魂珠の中ですか? ここが?」


「みたいだね~」


「体感も何もかも、現実と変わりませんが、ぼくたちは今、精神だけなんですよね?」


「だね~。チカラも相変わらずだ。ちなみに、おれ、海ちゃんの寝言で起きたよ」



理仁くんがニマニマしている。


イヤな予感しかしない。



「……ぼくが、何を言ってました?」


「アドバイスしとく。八歳の年齢差、むしろ逆手に取るほうが近道だよ。年下男子のかわいさで、こうグイグイと……」


「誤解です!」